キャッシュレス化に向けた市場調査②

サービス企画

以前の記事でも書きましたが、キャッシュレス決済の動向について見てみたいと思います。

よろしければ、前回記事を参照ください。

キャッシュレス決済市場規模は80兆円と言われており、国内消費300兆円と比較しても大きなマーケットになります。コロナの影響で昨年に引き続き、ECはもとよりリアル店舗においても非接触系カードを中心にキャッシュレス化へのニーズが高い状態です。

既にキャッシュレス導入済みの店舗状況、現場の生の声を拾うと、今後のキャッシュレス化がつかめるのかと思います。

1.前回の振り返り

キャッシュレス導入のメリットは

  • 機会損失の回避
  • 会計・経理の運用負荷軽減

逆にデメリットは

  • 加盟店手数料

というのが前回の総論です。現金決済に慣れきった店舗は特に手数料のハードルが高いのが大きな要因でした。

逆にキャッシュレス導入した加盟店については課題はないのでしょうか?

2.キャッシュレス導入加盟店の特徴

既に導入している加盟店では、お店のポイントと連動させる提携カードにより顧客の囲い込みをしています。

特に固定客の付きやすい、スーパー・ドラッグ系、SC系、デパート・家電系はいずれもポイントを基軸にしたCRM戦略を繰り広げてきました。このように古くからキャッシュレスを導入している業態では、大きく3つの特徴があります。

【1】システムが複雑化する

店舗にあるPOSシステムは、CRM顧客管理や商品在庫管理システムとバックエンドのシステム連携され、キャンペーンや特売品の日には値段を変更したり、数量確認が自動でできるようになっています。

【2】個別機能が膨らむ

もっぱら顧客への対応を迅速にするため、店舗特有のオペレーション(店員の打ち間違い補正、レシート無しの返品、購入商品の変更)が柔軟に組み込めるようにシステムに組み込まれています。

【3】システム部の権限が弱い

このように既にキャッシュレス導入しているお店は、接客レベルを最高水準に保つため、

売上に直接貢献する店舗店長や営業には強い権限を与えられており、システム部にはリソースも権限も弱いのが一般的です。

かなり時代とは逆行しているように見えますが、現実問題多くの業態でこのような特徴が挙げられます。

3.キャッシュレス導入加盟店の悩み

先の特徴から、

【1】システムが複雑化する ー> 高コスト体質

例えばPOSへの機能追加が他のシステム(CRMや在庫管理、経理システム)にどう影響するのかを見極めるのが大変です。このため古くから加盟店に対する”お仕立て屋”いわゆるSIerが中に入り込んでおり、開発から保守までALL INで見てくれるという形態が多いです。

このため、コストが高くてもSIerから脱却できない(しにくい)現状があります。

【2】個別機能が膨らむ ー> クラウド・Saas化が遅れる

昨今ではクラウドサービスが主流で、最低限の機能だけを定額課金で利用するのが最もコスト効率が高いのです。ですが、既にキャッシュレス導入している店ではどこまでが個別でどこまでが標準機能かを判断するのは至難の業です。それを分析するのは既存SIerしかないですが、わざわざ自分から離れる顧客の手伝いなどしません。

【3】システム部の権限が弱い ー> 低予算

かねてよりシステム投資に掛けられる費用には制限がありました。

特に消費税対応等のいわゆる法令対応は、売上に貢献するものでもないが対応せざるを得ないものとして、相当コストを削らないと予算が通りません。

実際Windowsのサポートが切れたOSを使っているPOSレジも使っている店も多いのも、背景としてこのような理由からです。

4.今後の見通し

コロナの影響でリアルの加盟店では軒並み売上が半減以下となっており、これまで以上にシステムに掛けられる投資には限りがあるものと予測されます。

反面、コロナ前からあった上述の3つの課題(高コスト、未クラウド、低予算)が致命的なくらいに浮き彫りになっており、まだ体力のあるところは生き残りを掛けてシステム自体を乗り換えることを目論んでいます。

店舗にお客が来ないのはどこも同じなので、今、売上に直結するソリューションを取り込めば、一気にシェアを取り込むことが可能です。逆に単純にキャッシュレスサービスではなく、集客ができないと価値はありません。

とはいえ、現状はデジタル広告(全身鏡みたいなパネル見たことありませんか?)やライブコマース連動くらいしかアイデアは無いので、各社とも様子を伺っている状態ですね。

5.まとめ

昨年のコロナの影響で各社とも売上に大幅なダメージを受けています。

既にキャッシュレス導入している加盟店でも、高コスト体質・クラウド化の遅れ・低予算の課題を抱えており、今後の生き残りを掛けて、大きな方針転換が求められています。

だいぶ自粛期間が長期化しているので、体力を奪われる前に先手を打ったところだけが生き残る時代になってきたと思います。

またレポートします。それでは。

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