これだけ覚えれば良い。長期金利と米国株式

資産形成

現在、米国株式市場は『金融相場』と呼ばれています。

給付金・支援金の財政出動を繰り返してきたおかげで、米国株市場に大量の資金が流入しています。

最近、【米10年国債利回り】が上がって、米国株が大幅に下がったりするニュースを見たことありませんか? この【米10年国債利回り】のことを長期金利と呼んだりします。

この長期金利と株式市場の動きを理解していないと、株式投資では確実に負けます。これはアメリカに限った話ではなく、必須の金融リテラシーになります。

かなりわかりやすく解説していきますので、読み終わった後は明日の経済ニュースが分かるようになっていると思います。最後までお付き合いください。

1.長期金利(10年国債利回り)の影響で、なぜ株が上下するのか?

個別の銘柄は分かりませんが、全体的に相場が上向きか下向きかは予想できます。

長期金利(10年国債利回り)と株式市場には強い関係があり、覚えてべきことは、

長期金利(10年国債利回り)が上がると株式相場は下がる

この1点のみです。

2.そもそも長期金利(10年国債利回り)とは何か?

長期金利(10年国債利回り)は、10年国債に対する利回りになります。

国債というのは変わってて、将来返ってくるお金(償還)が固定されています。

どういうことかと言うと、

・10年後に100万円が返ってくる国債を、90万円で購入した。

 この場合、差額10万円が長期金利による効果となります。

このように、国債というのは”常に現在価格しか変動しない”という特徴があります。

さて、今度は

・10年後に100万円が返ってくる国債を、80万円で購入した。

 この場合、差額20万円が長期金利による効果となります。

このように、【国債価格】が下がる と【長期金利】は上がるというシーソーの関係にあります。

これは国債だけではなく、社債についても同じです。

3.なぜ長期金利が上がると、株式市場が下降するのか

国債価格と長期金利の関係がわかったところで、一見株式市場とは全く関係がないように見えますね。

アメリカの国債市場は17兆ドルの規模があります。世界最大のNY証券取引所の上場企業時価総額が19兆ドルあるので、米国株に影響を与えるほどの市場規模です。(ちなみに東京株式市場で4兆ドル)

株式投資よりも長期金利の方が有利だと判断されたら、投資家は株から国債へ資金をシフトしていくのは容易に想像できますね。

長期間資金がホールドされる代わりに、最終的な償還を国が保証してくれるというのが国債の大きな魅力かと思います。

将来の見通しが立たない状況では、安全資金にシフトしていくのは当然かと思います。

※)ビットコインに代表される仮想通貨は、時価総額が1兆ドルを突破したことが大きなニュースになりました。近い将来、株式市場に大きな影響を与える市場になることは間違いありません。

4.なぜ長期金利が上がるのか?

企業や個人が銀行からお金を借りるときの金利は、この10年物国債利回り≒長期金利をベースとするので、長期金利の上がり下がりは株式だけではなく、我々の生活にも密接に関わってきます。

つまり、長期金利が上がると、企業は銀行からお金を借りにくくなりますので、設備投資しにくい環境になります。

長期金利が上がっている背景として、

(1)ワクチン接種の普及による将来への期待

(2)異次元の財政出動による反動懸念

の2つが挙げられます。

米国では3回目の給付金に踏み切り、ロックダウンの補助金を継続し、国債を買い取り、と今年も1.9兆ドルの財政を組んでいます。

このような背景で支えられた株式市場の高騰はかなり異常で、お金が余って株式などの資産へ流れる構造が続いていました。これは相対的にお金の価値が下がるインフレに近い状態になります。

インフレを抑えるためには、市中に回るお金を引き締めないといけないので、近いうちに政府が金利を上げるのではないか?という予測を折り込みつつあります。

5.長期金利はどうやってコントロールしているのか?

国債利回り≒長期金利と説明しましたが、国債の利回りは国債の現在価格で決まります。

すなわり、人気があれば国債価格は上がる(利回り下がる)し、人気がなければ国債価格は下がる(利回りが上がる)となります。

政府が、銀行から積極的に国債を買うと価格が上がります(利回りが下がる)。これは各国の政府がコロナ初期に行ったことです。

政府が国債を購入することで、市中銀行にお金が流れ、それが低金利で市場に回る仕組みとなっているのが現状です。

6.誰がコントロールしているのか?

世界で最も注目を集めているのは米連邦準備理事会(FRB)の動向です。

注目のポイントは

”政策金利をいつ上げるのか?”

この1点に付きます。

政策金利というのは、中央銀行が民間銀行へお金を貸すときの金利が一般的でしたが、

今は、民間銀行同士でお金を借りる時の金利(FF金利 *Federal Funds)を指します。

このFF金利は現在0.25%のほぼゼロ金利で遷移しています。

FF金利が上がるということは、銀行が企業や個人へ貸し出しするときの金利も上がるので、短期・長期金利ともに上昇することを意味しています。

現在の米国株市場は強烈な量的緩和によって支えれられており、実体経済と大きく乖離した市場です。(これを金融相場といいます)

ここで金利が上がろうものなら、一気に市場から資金が撤退する可能性が高く、連鎖的に世界中の株式市場に波及します。FRBのパウエル議長の発言はこれほど注目されるわけです。

事実、最近は米国長期金利が上昇しており、その影響が欧州にも波及しています。ECB(欧州中央銀行)はEURO諸国の国債購入(2兆ドル)に踏み切り、金利を下げる調整に躍起になっています。

金利が上がること自体は、”実体経済が金利を上げても耐えられるほど回復した”と判断できるので、マイナスの意味ではありません。

あくまでも現在のような金融相場においては、FF金利が株式相場に直結するという意味です。

6.長期金利があがるサイン

毎日のニュースを注意深くみていると、長期金利が上がりそう・下がりそうなサインに気付きます。特に重要なサインを以下に挙げておきます。

・雇用統計:

米労働省が毎月発表している雇用統計。特に失業率が重要。

失業率が下がるということは、経済の回復しつつあるので【金利が上がるNews】

・ワクチン接種普及率:

副反応もなく、ワクチン接種の普及が広がれば、その分実体経済の早期回復が見込めるので【金利が上がるNews】

・消費者物価指数(CPI):

米労働省が毎月発表している消費者物価指数になります。詳しい算出法は割愛します。

一般的にCPIが2%を超えるとインフレ政策のため、金利引き上げなどの引き締め政策が行われるため、こちらも非常に重要な指標です。なお、現在CPIは1.7%です。

なので、消費者物価指数CPIが上昇するのは【金利が上がるNews】

こんな風にニュースを見て、金利が上がる(株が下がる)という視点を持っていると、今の株式市場で何が起こっているのかが理解できるようになります。

7.まとめ

金融の世界はとても複雑ですが、ひとつ取っ掛かりを持つと全体像が掴めてきます。

その取っ掛かりが【米10年国債利回り】≒長期金利という、とても大事な指標です。

まとめると、こういう関係にあります。

・長期金利があがると株式相場は下がる(特にハイテク株)

・国債価格が下がると長期金利が上がる

・コロナでは政府が国債を買うことで、国債価格が上がり・長期金利が下がっていた(量的緩和)

・いずれ、この時代(金融相場)は終焉を迎える。

・長期金利の上昇が指標である。2%あたりと言われている。

・その時、FRBが政策金利の利上げに踏み切ることが予想される。

・雇用統計、ワクチン接種率、消費者物価指数にそのサインが現れる。

正確に情報を拾って分析すれば、今後の株式市場が分かるようになります。

今日の記事が、みなさんの株式投資判断に少しでもお役に立てれば幸いです。


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